~頭痛について part2~

2019年10月29日

 前回は、「慢性的に起こる頭痛」についてご説明いたしました。
今回は「脳の病気に伴う危険な頭痛」について詳しく解説いたします。


◆ 脳の病気に伴う危険な頭痛について
 日常的に起こる頭痛や慢性的に起こる頭痛と異なり、脳の病気の症状として発生する頭痛は、前触れもなく激しい痛みが現れ、命に危険が及ぶこともあるので注意が必要です。

*ほとんどの場合、入院治療が必要です。当院では、診断のうえ大きな病院(高度救急医療が可能な病院)へ速やかに紹介いたします。

代表的なものとして以下が挙げられます。

(1) くも膜下出血

  ■主な症状
  ①頭痛
  ②吐き気

 歩行が可能な軽い症状のものから、重い症状のものまであります。頭痛を感じた時間が明確で、人生でこれまで味わったことのない種類の頭痛が特徴です。ほとんどの場合、激しい痛みで吐き気・嘔吐・意識喪失を伴います。

(2) 脳出血

  ■主な症状
  ①頭痛
  ②手足のしびれ
  ③言語障害、視野障害

  頭痛が徐々に強くなってくる、突然激しい頭痛に襲われ手足がしびれるとともに、言語障害や視野障害、意識障害を起こします。                  

(3) 脳腫瘍

  ◾︎主な症状
  ①頭痛
  ②吐き気
  ③手足の運動麻痺

 朝方に頭痛が起こり、起床後はおさまることが特徴です。嘔吐、進行性の片麻痺、けいれん発作の症状も現れることがあります。

(4) 髄膜炎

  ◾︎主な症状
  ①頭痛(特に後頭部に強い痛み)
  ②高熱
  ③痙攣

 ウイルスや細菌が髄膜内に炎症を引き起こし、高熱が出ます。
うなじのあたりが硬直する、またけいれんや意識障害などか見られ、後頭部に強い痛みを感じることが多いのも特徴です。


(5) 慢性硬膜下血腫

  ◾︎主な症状
  ①頭痛
  ②吐き気
  ③嘔吐

 高齢者に多くみられるものです。認知症が進行したような症状(記憶力低下・性格変化・意欲低下など)も出現することがあります。病状が悪化した場合には意識障害が出現し、場合によっては昏睡となり命に関わることがあります。症状の出現した1ヶ月前ぐら
いに、頭部を打撲した事があれば、診断の可能性は高くなります。

慢性的に起こる頭痛がある方は、脳の病気に伴う危険な頭痛が発生しても気づかずに放置しまいがちです。しかし、命の危機に直面する疾患の症状として出現している可能性が高いため、安易に自己判断せず、早めに受診してください。