もの忘れ外来について

2020年02月16日

 当クリニックでは、もの忘れ外来を開設しており、日本認知症学会専門医・日本脳卒中学会専門医である院長が対応しております。

今回は、もの忘れの基本的な知識について説明いたします。


もの忘れとは・・・?

 人は年齢を重ねるについて、もの忘れが多くなっていきます。

「もの忘れ=認知症」という印象をもたれる方が多いかと思いますが、実はもの忘れは大きくわけて4つに分類されます。

▪️もの忘れの種類

⒈ 年齢に伴うもの忘れ(年齢相応の自然な老化による、正常なもの忘れ)

⒉ 認知症

⒊ 軽度認知機能障害

⒋ 病気(認知症以外)の初期症状によるもの忘れ

 上記2,3,4については、早期発見及び適切な治療によって症状を改善できるものもあります。


▪️認知症とは

 認知症とは、何らかの理由で正常に働いていた脳の機能が低下し、記憶や思考への影響により生活に支障がみられる病気です。認知症は大きく2つに分類されます。

 ・アルツハイマー型認知症

 (脳神経細胞が変性して脳の一部が委縮していく過程でおきる認知症)

 ・脳血管性認知症

 (脳梗塞や脳出血などにより記憶や思考に関する脳の部位が障害されておきる認知症)


▪️軽度認知機能障害とは

 軽度認知機能障害は、認知症とは異なり、年齢に伴うもの忘れと認知症の間の段階の状態を指します。軽度認知機能障害は放置しておくと病状が悪化し認知症になる可能性が非常に高くなります(軽度認知機能障害と診断された高齢者のうち、約半数が5年以内に認知症を発症)。軽度認知機能障害になっているかの判断は、医療機関で診察と検査を受けてみなければわかりません。

下記のような症状・兆候が見られる場合は医療機関を受診することをおすすめします。

 ・同じ会話をすることが多くなった

 ・家事や炊事の段取りが悪くなった

 ・同年代の人と比べてもの忘れが多い

 ・やる気が出ない

 ・服装や髪型に気を使わなくなった

 ・人の名前を思い出せなくなった


▪️病気(認知症以外)の初期症状によるもの忘れとは

 慢性硬膜下血腫、特発性正常圧水頭症、うつ病などに伴い、もの忘れの症状がでる場合があります。これらは、治療により回復することが期待できます。


▪️「正常なもの忘れ」と「認知症」の違い

 年齢に伴う「正常なもの忘れ」は出来事の一部を思い出せないという特徴があることに対し、「認知症」は出来事そのものを忘れてしまうという特徴があります。

(例)

 「正常なもの忘れ」⇨ 朝食のおかずが思い出せない

 「認知症」⇨ 朝食を食べたこと自体を忘れている


▪️認知症の診断について

 当クリニックでは、問診と認知機能検査、脳画像検査(MRI検査)によって認知症診断を行います。

ご家族の方が同伴される際には、ご家族の方から日頃の様子についてもヒアリングさせていただき診断の参考にさせていただきます。


▪️認知症の治療について

 認知症に対する根本的な治療法はまだありません。しかし、薬物療法にて症状を遅らせることができます。当クリニックでは、患者さんだけではなく、介護をされるご家族の実情に応じた薬物治療や介護保険サービスを有効にご利用いただけるようにサポートいたします。


▪️早期発見・早期治療の大切さ

 認知症は、放置していると症状が進行していきます。

症状が進行している時期には、脳の萎縮が進んでしまっており、現時点では抜本的な治療法がありません。しかし、認知症の進行を緩やかにする治療法はあるため、初期段階で正しく診断し、治療により進行を遅らせることが重要となります。当院では軽度認知機能障害を早期に発見する「MCIスクリーニング検査」(自費)もおこなっております。

少しでも異変を感じたら、専門医の診察を受けることをおすすめいたします。


✳︎当クリニックインスタグラム✳︎

「待合室のお花」をメインに、お知らせやきだクリニックの取り組みなどを更新しております♪

よろしくお願いします。

ユーザー名:kida_clinic

https://www.instagram.com/kida_clinic/