〜頭痛について part1〜
当クリニックでは年齢を問わず、頭痛に悩んで受診される方が多くみられます。今回は頭痛の基礎知識について解説いたします。
そもそも頭痛は、「①日常的に起こる頭痛」「②慢性的に起こる頭痛」「③脳の病気に伴う危険な頭痛」の3種類に大きく分類されます。
①日常的に起こる頭痛
原因は風邪や二日酔い等によることが多く、原因が解消されれば自然に治ります。
②慢性的に起こる頭痛(慢性頭痛)
原因ははっきりせず、「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3つに分けられます。いわゆる「頭痛もち」の頭痛。
③脳の病気に伴う危険な頭痛
原因はくも膜下出血や脳出血など。前触れもなく激しい痛みが現れることが多いです。
今回は「②慢性的に起こる頭痛」について、解説いたします。
◆ 慢性的に起こる頭痛(慢性頭痛)について
【緊張型頭痛】
頭痛で受診する方のほとんどがこのタイプです。
■ 特徴
① 毎日のように痛みが起こる(持続時間は30分から1週間ほど)
② 頭のまわりを何かで締め付けられるような痛み
③ 首や肩の「はり」「こり」を感じることが多く、目の疲れ・身体のだるさ・ふらつきなどを伴う
■ 誘因
原因は身体的ストレスと精神的ストレスがあげられます。
① 身体的ストレス
無理な姿勢・長時間のデスクワーク・睡眠不足などによる筋肉の緊張・血液循環の悪化
② 精神的ストレス
対人関係や仕事・家庭で悩みや不安を抱えることで自律神経がうまく働かなくなる
◾︎ 治療法
基本的には、薬剤治療は不要です。しかし、痛みや不快感の程度により、日常生活に影響を及ぼす場合は、薬剤治療を検討いたします。
【片頭痛】
■ 特徴
① 頭痛の頻度は月に数回程度、多いときは週に1、2回
② 頭の片側あるいは両側がズキンズキンと脈を打つような痛み
③ 吐き気や嘔吐を伴う
④ 痛みの前兆で、目の前がチカチカし視野が見えにくくなったり、手足のしびれやしゃべりにくくなることがある
■ 誘因
① 睡眠関連
(寝不足もしくは寝すぎによる睡眠・覚醒リズムの変動による影響)
②天候・物理的環境
(天気の変わり目、低気圧が近づくときなど。また暑い部屋、熱いお風呂など人為的な環境)
③月経
(生理前や生理中の女性ホルモンのバランスの変化)
④ アルコール・食物
(アルコールやチョコレート、チーズなどを食べたとき)
⑤ストレス
(ストレスから解放されるときに誘発されやすい傾向あり)
■ 治療法
まず、片頭痛発作をきたす誘因を確認します。発作の頻度が多い時期があり、これが予測されるようであれば発作予防薬をその時期に合わせて使用します。当院では漢方薬が中心です。発作時は、片頭痛頓挫薬であるスマトリプタンを使用しますが、数種類の中から患者さんに合ったものを選択いたします。
【群発頭痛】
■ 特徴
① 20~40代の男性に多い
② 1年から数年に一度、1ヶ月から数ヶ月、毎日のように決まった時間に痛みが起きる
③ 頭部の片側、眼の奥、こめかみあたりに激しい痛みが起きる
④ 目の充血、涙、鼻水、鼻づまりを伴う
■ 誘因
まだまだ明らかになっていない点が多く、現状においては頭部の血管の拡張が関係しているのではないかと言われています。そのため、血管を拡張させるアルコールの摂取は厳禁です。
■ 治療法
複数の予防薬と発作頓挫薬であるスマトリプタンを併用します。多くの場合、発作予防薬は一定期間、毎日服用する必要があります。
頭痛で外来を受診する人のほとんどの方が慢性頭痛に該当しています。命にかかわることはほとんどありませんが、日常生活に支障をきたす場合は治療が必要です。